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執筆者の写真seikanyasunaga

アーンアウト条項の税金(M&A・所得税)

更新日:2022年9月16日

M&Aで株式を譲渡する際に,「アーンアウト条項」が付された株式譲渡契約を締結することが多くあります。


アーンアウト条項付の契約では,株式の譲渡対価の一部が,株式の譲渡時点から一定期間経過後に調整金額等として支払われます。


【アーンアウト条項】

アーンアウト条項とは,株式の譲渡対価(買収対価)の一部を,一定の目標達成時に支払うことを規定した条項のこと。


 

税務上,アーンアウト条項が付された契約に基づき支払われる株式の譲渡対価は,一般的な株式の譲渡対価と同様に,「譲渡所得」に該当します。


ここで論点となるのが,株式の譲渡から一定期間経過後に支払われる調整金額の税務上の所得区分についてです。


契約内容等により,所得区分が ①譲渡所得 ②一時所得 ③雑所得 と分かれることが多いです。


調整金額の所得区分を規定した明確な法令や通達は存在しないため迷いやすいところですが,実務上は,過去の判例をベースに、所得区分を判定することが多いです。


 

調整金額の性格により、以下の所得区分となります。


①譲渡所得⇒株式の譲渡時点で調整金額が支払われることの権利が確定している場合には,

      譲渡所得に該当することになります。

      契約に「停止条件」がないことが条件となります。


「停止条件」とは一定の目標が未達の場合に調整金額が支払われないことを規定したもの。  

(または、容易に達成できる目標の場合には、停止条件があったとしても譲渡所得に含まれる可能性が高い)


②一時所得⇒株式譲渡と密接に関連するものであって、その事象に関連して偶発的に生じた

      利益の場合は、一時所得に該当することになります。   


③雑所得⇒株式譲渡と密接に関連するものであって、その事象に関連して発生した利益の場

     合は、雑所得に該当することになります。例えば、株式譲渡後に一定の目標が設

     定されており、その設定により獲得した利益は雑所得となります。

     契約に「停止条件」が織り込まれています。


3つの所得パターンからすると実務上は③雑所得が多いと思われます。


但し、個々の案件・契約内容毎の前提条件により異なりますので、いずれの所得区分に該当するか必ず専門家に相談・確認しましょう。


(注意)

上記の記載内容は、現在時点の情報に基づいて記載しております。

今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。



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