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執筆者の写真seikanyasunaga

同族会社の第三者割当増資(みなし贈与)

第三者割当増資とは、既存の株主に限定せずに、特定の第三者に株式を有償で引き受けてもらうことで資金を調達する方法をいいます。


同族会社では家族や親類による第三者割当増資が一般的であり、株式引受人にとって有利な時価より低い株価で発行する場合には、みなし贈与による贈与税が発生する可能性があります。

 

同族会社の第三者割当増資の新株発行が時価の場合→なにもおこならい


同族会社の第三者割当増資の新株発行が時価よりも低い場合→株式引受人に贈与税が発生する可能性がある

 

【同族会社の第三者割当増資の新株発行が時価の場合】


 【増資前】

 社長 株式保有率100% 100株 会社純資産 100億円 社長の持ち分 100億円 

 時価は1株あたり1億円

  

 【増資額】

 息子 25株引き受け 増資額 25億円

 ↓

 【増資後】

 会社純資産は100億円+25億円=125億円


 (増資後の持ち分と持ち分割合)

 社長 株式保有率80% 株数100株  社長の持ち分 100億円(125億円×80%)

 息子 株式保有率20% 株数25株   息子の持ち分 25億円(125億円×20%)


(増資前後の持ち分の移動)

 社長持ち分 増資前 100億円 → 増資後 100億円 変動なし

 息子持ち分 増資前 なし → 払込 25億円 → 増資後25億円 変動なし


 社長の持ち分は変わらず、息子も財産価値の変動はないためみなし贈与の問題は

 発生しません。


 

【同族会社の第三者割当増資の新株発行が時価よりも低い場合】


 【増資前】

 社長 株式保有率100% 100株 会社純資産 100億円 社長の持ち分 100億円 

 時価は1株あたり1億円

  

 【増資額】

 息子 25株引き受け 増資額 10億円


  ↓

 【増資後】

 会社純資産は100億円+10億円=110億円


 (増資後の持ち分と持ち分割合)

 社長 株式保有率80% 株数100株   社長の持ち分 88億円(110億円×80%)

 息子 株式保有率20% 株数25株   息子の持ち分 22億円(110億円×20%)


  (増資前後の持ち分の移動)

 社長持ち分 増資前 100億円 → 増資後 88億円 持ち分12億円の減少

 息子持ち分 増資前 なし → 払込 10億円 → 増資後22億円 持ち分12億円の増加


 息子は10億円の払込をしただけなのに、増資後の持ち分は22億円に増えてしまいました。

 社長の持ち分12億円が息子へ贈与されたとみなれます。


 贈与額12億円の場合は、約6億円の贈与税支払が息子に生じることになります。


 第三者割当増資を行う場合は、顧問税理士へ相談しましょう。


(注意)

上記の記載内容は、現在時点の情報に基づいて記載しております。

今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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